沼上新学長は11月5日、経営アカデミー名誉学長の野中郁次郎・一橋大学名誉教授と対談しました。沼上氏は、日本企業の国際競争力強化が課題となる中で、主体的に革新し、価値創造していく行動力あるビジネスリーダーの養成に取り組む方針を示されました。
(以下、「生産性新聞」2021年12月5日号より抜粋)
第7代学長の榊原清則・慶應義塾大学名誉教授の逝去に伴い、沼上氏が後継の学長に就任した。経営アカデミーは名誉学長の野中氏と新学長の沼上氏のもとで、今後一層、経営人材の育成に取り組む。
両氏は企業家にとって大事なこととして、「さまざまな議論や現象の背後にある本質を考えること」「その本質を概念化、理論化することによって、論理的納得性をもたせること」「それらを現実に適用する方法論を開発すること」の3点を指摘。こうしたプロセスは「組織内外の知的、人的ネットワークを総動員し、知の綜合化を図らなければ達成できない」としている。
この日の対談で野中氏は、日本の国際競争力低下の背景には、「オーバー・プランニング(過剰計画)」「オーバー・コンプライアンス(過剰規制)」「オーバー・アナリシス(過剰分析)」の三つの過剰があると指摘した。
そのうえで、「いま・ここ・私だけ」が持つ一人ひとりの主観や経験の質を、組織としての「いつでも・どこでも・誰にでも」の客観へと昇華させていくことで、経験の質を数式による量に変換することが重要であるとの考えを示した。
また、「人間の感性・理性のバランスや身体性の復権といったことが、もっと日本企業のマネジメントや経営システム、人事政策に反映される必要があるのではないか」と述べた。
一方、沼上氏は、「目に見えるものだけではなく、目に見えるものの背後に目に見えないメカニズムがあって、それについて考える力が求められている」と指摘。数字や表面的な現象を手がかりに背後に存在しているものを自分で見抜く力や、あるいは自分で作り出す力を持つことが、日本社会を変えるために重要なポイントになるとの考えを示した。
さらに、経営アカデミーの役割については、「アカデミックな知とビジネス界の知の交流が活発に行われること、また、業種を超えて、社内の常識が通じない人たちと語り合うことが極めて重要な経験になる。知的な会話の場、場合によっては格闘の場になるかもしれないが、そういうものを提供することが経営アカデミーの日本社会における極めて重要な貢献になる」と述べた。
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